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【弁護士による判例解説】「被相続人名義の借入金がある場合の遺産分割」
1 はじめに 被相続人名義の借入金がある場合、その借入金は遺産分割においてどのように扱われるのでしょうか。 この点、借入金(以下「債務」といいます)は、相続により法律上当然に分割され、各相続人が法定相続分で承継するため、遺産分割の対象とはな…
【弁護士による判例解説】「使途不明金と遺産分割調停」 最高裁判所昭和29年4月8日判決、最高裁昭和54年2月22日判決
今回は、遺産分割における使途不明金の取扱いについて、使途不明金の法的性質についてご説明しながら、お話ししたいと思います。 1 遺産分割で生前の使途不明金が問題となるケース たとえば、兄弟XYのうち、弟Yが生前母親Aの面倒を見ていたという例を…
【弁護士による判例解説】「相続開始前に、遺留分を放棄したい/させたい」 東京高裁平成15年7月2日決定
民法には、相続開始前に裁判所の許可を得て遺留分を放棄することができる、という制度があります。 遺言によって自分以外の相続人が財産を取得することには納得しているので、とにかく親族間の相続争いに関わらないようにしてしまいたい、あるいは、相続人の…
【弁護士による判例解説】「親が負担した学費は遺産分割の際に特別受益として考慮されるか」
遺産分割を受任していると、親が負担したきょうだいの学費について、遺産分割調停の際に、特別受益として考慮できるかという点が良く問題になります。 そこで、大学院や海外留学費用の支出について特別受益に当たるかどうかが争われた名古屋高等裁判所令和元…
【判例解説】「共同相続人に対する賃料相当額の請求」 最高裁判所平成8年12月17日
今回は、共同相続人が遺産不動産を占有する他の共同相続人に対し、賃料相当額を請求できるのかという問題について、最高裁がどのように判断しているのかご紹介します。 1 事実の概要 Aさんは、Yら2名と家族として本件土地建物で同居生活をし、家業を営…
【判例解説】「被相続人の口座の動きを調べたい!」最高裁平成21年1月22日大法廷判決
相続が発生した場合、相続人は遺産分割について話し合うことになります。 預貯金については、残高をどう分けるか、という話し合いになりますが、残高が思っていたよりもかなり少ない、というようなこともあると思います。 被相続人の預金が適正に使われてい…
【弁護士による判例解説】「葬儀費用は喪主負担か,法定相続人負担か。」(東京地裁令和3年9月28日判決を参考に)」
被相続人について支出した葬儀費用を喪主が全額負担すべきか、法定相続人が相続分に応じて負担すべきか、議論があります。 葬儀費用の負担を誰がするかについては、相続財産の使い込みの事例で問題となることが多いため、裁判例をもとに検討してみましょう。…
【判例解説】「遺言能力と遺言の有効性」 東京高等裁判所平成25年3月6日判決
今回は、本判決を通じて、普段あまり聞きなれない「遺言能力」という言葉について、お話ししたいと思います。 1 事実の概要 昭和55年4月、Aさんは、全財産を妻Bに相続させるとの自筆証書遺言(以下「旧遺言」といいます。)を作成していました。 と…
【判例解説】「相続される権利/相続されない権利」 最高裁昭和42年11月1日大法廷判決
相続の効果について、民法896条は、次のように定めています。 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」 (引用)民法第896条 相続の対象となら…
【判例解説】住宅ローン等の借金がある場合の遺留分侵害額の計算の仕方(最高裁判所平成8年11月26日最高裁第三小法廷判決)
多額の財産を有する方ほど、住宅ローンや、アパートの建築のためのローン等、多くの債務を有していることが多いです。 今回は、借金がある場合の遺留分侵害額の計算について解説します。 判例当時は遺留分減殺請求といって、現在とは制度が異なり、不動産等…