3種類の遺言書とそのメリット・デメリット

代表弁護士 多湖 翔 (たこ つばさ)
多湖総合法律事務所
所属 / 神奈川県弁護士会 (登録番号46487)

相続が発生した場合、相続人全員で遺産分割について話し合いをする必要が出てきます。

しかし、この話し合いが相続トラブルの原因になることも少なくありません。

さらに、相続トラブルが原因で親族間の関係が悪くなってしまうこともあります。相続におけるトラブルを回避するため、また、残された親族が手続きに困らないようにするためにも、遺言書は生前に作成した方がいいでしょう。

そこで今回は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3種類の遺言書と、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

自筆証書遺言とそのメリット・デメリット

自筆遺言書とは、遺言書の作成方式の中でも自分自身で作成するものをいいます。遺言書を作成するにあたって、最も多く利用されている方法です。以前は遺言書の全文、日付、氏名が自筆である必要があり、パソコンで作成されたものなどは無効とされていました。

しかし、近年、法改正が行われ、財産目録については自筆でなくても良くなり、負担が軽減されています。パソコンを活用して作成することも可能となったため、多くの遺産がある場合でも作成しやすくなりました。

自筆証書遺言のメリット

自筆遺言書のメリットとしては、作成に費用がかからない、自分で思い立ったときにいつでも作成できるという点が挙げられます。

また、インターネットなどで調べれば作成の方法などについて簡単に調べることができますので、着手しやすい遺言書作成の方法です。

自筆証書遺言のデメリット

自筆遺言書のデメリットは、不備があった場合に無効となる点です。法律では、同一書面にておける2人以上の遺言は禁止されているほか、判例では、日付の記載がないものを無効としています。せっかく作成しても不備があれば効力が発揮されません。

また、作成したにもかかわらず発見されなかったり、紛失してしまったりする恐れがあるという点も挙げられます。

さらに、遺言書としての体裁を保っているかの確認をしてもらう、検認という手続きが必要になるという点も挙げられます。検認は家庭裁判所にて行われるため、手間がかかるのを避けられません。

公正証書遺言とそのメリット・デメリット

公正証書遺言とは、遺言書を公正証書にしたものをいいます。

具体的な作成方法としては、まず、証人2人の立会いのもと、遺言者の伝えた内容をもとに公証人が遺言書を作成します。

次に、内容に問題がなければ遺言者と証人、公証人が署名と押印します。このようにして作成されたものが公正証書遺言で、作成された遺言書は公証人役場に保管してもらうことができます。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットとしては、紛失の恐れがない点が挙げられます。作成された遺言書は公証人役場に保管されるので、紛失はしません。

また、自分で書く必要がなく、公証人が作成するため法的不備なども発生しづらいという点も挙げられます。さらに、検認手続きが不要であるという点も挙げられます。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言デメリットとしては、費用がかかるという点が挙げられます。費用は遺産の総額によって異なりますが、100万円以下であれば5000円、1000万円を超えてくると2万円以上の全国公証人役場で一律の手数料がかかります。

また、公正証書遺言の作成時に2人の立会人を選出するのが困難な場合には、公証役場側に依頼する必要があるため、別途費用がかかります。

秘密証書遺言とそのメリット・デメリット

秘密証書遺言は誰にも遺言書を見られたくない場合に有効です。

具体的な作成方法としては、まず、作成した遺言を封筒に入れ、遺言の押印と同じ印鑑で封印します。

次に、証人2人の立会いのもと公証人に遺言として提出し、公証人、遺言者、証人が署名・押印します。このようにして作成されたものが秘密証書遺言です。公証役場を利用するメリットが薄いため、利用されることは少ない方法です。

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言のメリットとしては、署名以外の項目については自書する必要がないため、自筆証書遺言よりも負担が軽いという点が挙げられます。

また、遺言の内容が他人に明らかになることがないという点も挙げられます。

秘密証書遺言のデメリット

秘密証書遺言のデメリットとしては、費用がかかるという点が挙げられます。公正証書遺言と同様に、手続き自体にかかる費用に加えて、手数料や証人を依頼した場合はそれにかかる費用もかかります。

また、自分で保管するため、紛失してしまったり、盗難に遭ったりする恐れがあるという点も挙げられます。公正証書遺言と異なり、作成したあとは自分で保管しなければならないため、公正証書遺言よりリスクがあります。

さらに、公証人が遺言書を確認しないので不備があった場合無効になってしまう恐れがあることや、家庭裁判所にて検認の手続きが必要であることも挙げられます。

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