未成年者や胎児がいる場合の相続について

代表弁護士 多湖 翔 (たこ つばさ)
多湖総合法律事務所
所属 / 神奈川県弁護士会 (登録番号46487)

人が亡くなると相続が開始し、相続人は遺産を相続することになります。この権利を「相続権」というのですが、実はこの相続権は未成年者やまだお腹の中にいる胎児にも認められています。

しかし、ご存知の方は多いと思いますが、未成年者は自身の決断で法律行為を行うことはできません。未成年者の親が法定代理人となり、未成年者に代わって法律行為を行います。

また、胎児にいたっては権利能力があるとはいえず、相続権があると言われても疑問符が生じる方も多いのではないでしょうか?しかし、法律上は胎児にも相続権が認められています。

そこで今回は、未成年者や胎児がいる場合の相続について詳しく見ていこうと思います。

未成年者がいる場合の相続について

冒頭でも触れたとおり、未成年者には法定代理人の同意なく法律行為を行うことはできません。未成年者の法定代理人とは、多くの場合で未成年者の親となっています。

したがって、未成年者が遺産分割協議書に記名捺印するとなれば、当然ながら法定代理人の同意が必要となります。

しかし、その親自身も相続人になっている場合、未成年者の代わりに遺産分割協議書に記名捺印することは認められていません。もちろんその他の法律行為に関しては親が行えることに変わりはないのですが、遺産分割に関して双方が相続人になっていると「利益相反」が生じてしまいます。利益相反とは、どちらかが利益を得るとどちらかが損をする状態を指します。

例えば、相続人が被相続人の配偶者Aと未成年の子どもBだった場合です。Aが法定代理人として、Bの法律行為である遺産分割協議書に記名できるとするならば、自らの取り分を多くした遺産分割協議書を作成することも出来てしまいます。

これを禁止するため、親と子双方が相続人の場合に限っては、利益相反を理由に遺産分割協議書への同意が出来なくなっています。

未成年者の相続では特別代理人を選任

上記のように、親子間で利益相反が生じる場合は、「特別代理人」を選任させる必要があります。特別代理人というのは、本人の代わりに一時的な代理人として手続きを進めるために家庭裁判所から選任されることになっています。

今回のケースでいえば、未成年者が成年になるまで遺産分割協議を保留にすることも可能です。その間、遺産に手をつけることはできなくなってしまいますが、特別代理人を選任させてまで遺産分割協議を完了させたい理由がなければ、そのようにしても特に問題はないでしょう。

なぜなら、遺産分割協議に明確な期間は定められていません。どうしても特別代理人を選任させたい場合は、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをしましょう。

申立ては、候補者を指定することも可能となっていますが、今回のケースに限っては親族を候補者にすることで、子どもが成人してからのトラブルが発生する危険も想定されます。これを回避する意味でも、特別代理人は弁護士といった法律の専門家に依頼するのが賢明です。

胎児がいる場合の相続について

人というのは、原則的に生まれたその瞬間に権利能力を得ると考えられています。ということは、胎児には権利能力がないのでは?そのように感じるのも当然です。

しかし、相続に限っては、例外的に胎児にも相続権が認められています。

したがって、妻が妊娠しているときに夫が他界してしまった場合は、相続権は胎児にも及ぶことになりますが、もし死産となってしまった場合、胎児は初めから相続人ではなかった取り扱いとなります。胎児が無事に出生するかどうかで相続人の数が変わってくることからも、当然ながら遺産分割協議を進めることはできません。

また、無事に出生したからといっても、すぐに遺産分割協議が進められるわけではなく、上記で触れた未成年者の場合と同様に、特別代理人の選任が必要となります。

なお、胎児の段階であっても、特別代理人を選任して遺産分割協議を進めることは可能です。しかし、死産になる可能性を考慮すれば、その遺産分割協議は無駄になってしまう可能性もあることから、実務上は無事に出生を見届けてから、特別代理人を選任させるのが一般的と言えるでしょう。

特別代理人の選任が必要な方は

上記のとおり、未成年者や胎児がいる場合、特別代理人の選任によって遺産分割協議を進めていくことが可能となります。

とはいえ、やむを得ない事情が特にないのであれば、焦って特別代理人を選任させることはありません。子どもが大きくなるのを待ってから、遺産分割協議をするというのも選択肢の1つです。

しかし、どうしても特別代理人を選任させたい理由がある方は、まずは当事務所にご相談ください。

当事務所であれば、特別代理人の選任申立てはもちろん、当事務所の所属弁護士が特別代理人の候補者になる事も可能です。弁護士の候補者であれば、多くの場合で裁判所からの選任許可も出るのが実情となっています。当事務所内ですべての手続きを完結可能となっているので、どうかご安心ください。

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