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【弁護士による判例解説】「特別寄与料をめぐる問題」
1.特別寄与料の制度の新設 被相続人の家業を無償で手伝っていたり、療養看護を行っていたなど「特別の寄与」をした相続人には、寄与分が認められ、当該相続人は、その分だけ他の相続人より多くの遺産が取得できることになります。これが寄与分制度です。 …
【弁護士による判例解説】「家庭裁判所による祭祀承継者の決定」 東京高等裁判所平成18年4月19日判決
今回は、本判決を通じて、亡くなった方が所有していた過去帳、仏壇や位牌等の祭具、お墓の承継者が家庭裁判所によりどのような判断要素で決められるのか、ご紹介したいと思います。 1 事実の概要 亡くなった母親Aの墓地使用権及び墓標等について、その権…
【弁護士による判例解説】「一度作成した遺言の撤回」 最高裁平成9年11月13日判決
遺言書を作成した後で、財産状況や、ご親族との関係性が変わるなどして、一度作成した遺言書を撤回したい、という場合もあるかと思います。 遺言の撤回については、民法1022条において、「遺言は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部…
【弁護士による判例解説】「遺産分割を経ずに被相続人が有していた投資信託の払い戻しを受けることが出来るか。」
相続人間で遺産分割が折り合わない場合、遺産分割というのは実に長い時間がかかることがあります。 相続税の支払いに巨額のお金が必要になることがありますが、預金で一部の払い戻しが認められているように遺産分割前でも、証券会社に対して自分が相続人とし…
【弁護士による判例解説】「相続放棄の熟慮期間の起算点」
1 相続放棄 相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に行わなければならないとされています(民法915条1項本文)。 それでは、生前、被相続人と疎遠であり、被相続人の財産状況を一切把握していなかったため…
【弁護士による判例解説】「負担付死因贈与の撤回の可否」最高裁判所昭和57年4月30日判決
皆さんは負担付死因贈与という言葉をご存知でしょうか。 今回は、負担付死因贈与の撤回についての判例をご紹介します。 1 事実の概要 昭和35年5月、Aは長男Xとの間で、Xが会社に勤めている間はAに毎月3000円以上の金銭を渡し、さらに年2回の…
【弁護士による判例解説】「寄与分の金額に上限はある?」東京高裁平成3年12月24日決定
被相続人の療養看護を行ったり、遺産の維持管理に努めたりして、相続財産の維持・増加に特別の寄与をしたと認められる場合には、遺産分割を行うに当たって、相続人間の衡平を図るため、相続人に「寄与分」が認められることがあります(民法の改正により、相続…
【弁護士による判例解説】「配偶者や子ども名義で預金を貯めていた場合、配偶者や子ども名義の預金(いわゆる名義預金は)遺産分割の対象に含まれるか否か。」
【参考判決】 東京地裁令和3年10月27日判決 最高裁昭和48年3月27日判決 最高裁昭和52年8月9日判決 最高裁平成15年2月21日判決 税金対策など色々な理由から、本当は被相続人の資産でも、配偶者や子ども名義で預金をすることがあります…
【弁護士による判例解説】「被相続人名義の借入金がある場合の遺産分割」
1 はじめに 被相続人名義の借入金がある場合、その借入金は遺産分割においてどのように扱われるのでしょうか。 この点、借入金(以下「債務」といいます)は、相続により法律上当然に分割され、各相続人が法定相続分で承継するため、遺産分割の対象とはな…
【弁護士による判例解説】「使途不明金と遺産分割調停」 最高裁判所昭和29年4月8日判決、最高裁昭和54年2月22日判決
今回は、遺産分割における使途不明金の取扱いについて、使途不明金の法的性質についてご説明しながら、お話ししたいと思います。 1 遺産分割で生前の使途不明金が問題となるケース たとえば、兄弟XYのうち、弟Yが生前母親Aの面倒を見ていたという例を…