判例解説
【判例解説】「被相続人の口座の動きを調べたい!」最高裁平成21年1月22日大法廷判決
相続が発生した場合、相続人は遺産分割について話し合うことになります。 預貯金については、残高をどう分けるか、という話し合いになりますが、残高が思っていたよりもかなり少ない、というようなこともあると思います。 被相続人の預金が適正に使われてい…
【弁護士による判例解説】「葬儀費用は喪主負担か,法定相続人負担か。」(東京地裁令和3年9月28日判決を参考に)」
被相続人について支出した葬儀費用を喪主が全額負担すべきか、法定相続人が相続分に応じて負担すべきか、議論があります。 葬儀費用の負担を誰がするかについては、相続財産の使い込みの事例で問題となることが多いため、裁判例をもとに検討してみましょう。…
【判例解説】妻の貢献を夫の寄与分として主張できる?
被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与(通常想定される程度を超える貢献)をした相続人がいる場合に、貢献度に応じて、その相続人の相続する財産を増加させる制度を「寄与分」といいます。 寄与分を受ける資格がある者は、原則として、相続人とされてい…
【判例解説】「遺言能力と遺言の有効性」 東京高等裁判所平成25年3月6日判決
今回は、本判決を通じて、普段あまり聞きなれない「遺言能力」という言葉について、お話ししたいと思います。 1 事実の概要 昭和55年4月、Aさんは、全財産を妻Bに相続させるとの自筆証書遺言(以下「旧遺言」といいます。)を作成していました。 と…
【判例解説】「相続される権利/相続されない権利」 最高裁昭和42年11月1日大法廷判決
相続の効果について、民法896条は、次のように定めています。 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」 (引用)民法第896条 相続の対象となら…
【判例解説】住宅ローン等の借金がある場合の遺留分侵害額の計算の仕方(最高裁判所平成8年11月26日最高裁第三小法廷判決)
多額の財産を有する方ほど、住宅ローンや、アパートの建築のためのローン等、多くの債務を有していることが多いです。 今回は、借金がある場合の遺留分侵害額の計算について解説します。 判例当時は遺留分減殺請求といって、現在とは制度が異なり、不動産等…
【判例解説】借主が死亡したら土地を返さなきゃいけないの?
被相続人が無償で土地を借りて自分で家を建てて住んでいたような場合、被相続人の死亡により、当該土地の使用借権はどうなるでしょうか。相続人は、建物を壊して貸主に土地を返さなければならないのでしょうか。 この点に関して、裁判例をご紹介しながらご説…
【判例解説】死亡保険金は相続でどのように考慮されるか?
(最高裁平成16年10月29日第二小法廷決定) 1 事案の概要 母親が亡くなり,その子どもたち4人(X1,X2,X3,Y)が相続人となり,X1,X2,X3が,Yに対して遺産分割調停を申し立てた事案です。 母親名義の財産としては,不動産や預貯…
【判例解説】できるの?遺産分割協議のやり直し
(①最高裁判所平成元年2月9日第一小法廷判決) (②最高裁判所平成2年9月27日第一小法廷判決) 今回は,2つの判例をご紹介し,遺産分割協議をやり直すことができるのかという点をテーマに,お話ししたいと思います。 1 事実の概要 ⑴ ①最高裁…
【弁護士による判例解説】遺産に属する不動産から生じた賃料が発生した場合、どのように管理した方が良いか。(最高裁平成17年9月8日判決を参考に)
1 事案の概要 登場人物は全部で四人です。父(被相続人)、配偶者(相続人)、前妻の子ども二人(相続人)です。 被相続人は、複数の不動産を他人に貸しており、賃料が発生するいわゆる「収益物件」を所有していたところ、相続人間では、任意の話し合いで…