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【弁護士による判例解説】「自筆証書遺言として有効な方式とは」東京高裁令和元年7月11日判決等
遺言は、法律上、①自筆証書、②公正証書、③秘密証書のいずれかの方法によってしなければならないと定められています(民法967条)。 今回は、このうち、自筆証書の方法による遺言について、自筆証書遺言の方式を満たすと認められた事例、認められなかっ…
【弁護士による判例解説】「遺産分割審判で裁判所は競売での換価分割を命じる場合」 ~仙台高等裁判所平成5年7月21日決定、東京高裁令和5年12月7日判決を参考に
こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。 遺産分割の相談をお受けしていると、「絶対に共有にはして欲しくないので、競売での分割でも構わないから現金にしてほしい。」というご相談をお受けすることがままあります。 今日は遺産分割審判で裁判所が換価分割…
【弁護士による判例解説】「前の遺言と抵触する遺言等がなされた場合」
1.遺言の撤回 遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。 また、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされ(同法…
【弁護士による判例解説】「遺言に記載された「一切の財産」の解釈が問題となった事例」 東京地方裁判所平成18年10月19日判決
今回は,遺言を形式的に解釈しなかった裁判例をご紹介します。 1 事案の概要(説明の都合上簡略化しています) 亡Aの長女Yは,Aが亡くなる前日と当日に,A名義の信用金庫から合計500万円を引き出していました。Aは公正証書遺言を残しており,この…
【弁護士による判例解説】「相続放棄と不動産登記」 最高裁判所昭和42年1月20日判決
不動産に関する権利関係は、登記によって公示されます。 皆さんも一度は見たことがあるかもしれませんが、不動産の登記は法務局へ行けば誰でも取得することができますので、登記を見て、不動産の所有者が誰か、といったことを調べることが可能です。 ただ、…
【弁護士による判例解説】「遺留分侵害額請求と消滅時効を止める方法」最高裁判所平成10年6月11日判決 東京地裁令和元年9月19日判決
今回は、遺留分侵害額請求と消滅時効を止める方法について解説します。 1 遺留分侵害額請求の消滅時効 遺留分侵害額請求の消滅時効は、「遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、…
【弁護士による判例解説】「相続欠格と代襲相続」
1.相続欠格とは 民法891条に定められた以下の5つの事由に該当した場合、相続人は、相続人の資格を失います。これを相続欠格といいます。 ① 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたた…
【弁護士による判例解説】「死亡に伴う公的給付と相続放棄」
人が死亡すると,各種公的な給付金の受取りについて,相続人に案内が届くことがあります。こうした給付金を受け取っても相続放棄を行えるのか,ご説明します。 1 法定単純承認(民法921条1号本文) 相続人が「相続財産の全部又は一部を処分した」場合…
【弁護士による判例解説】「成年被後見人の遺言」 名古屋高等裁判所平成9年5月28日判決
認知症等によって認知機能が低下し、事理弁識能力を常に欠く状態となった場合、親族等の請求によって、家庭裁判所による後見の審判を受けます(民法7条)。 原則として、15歳以上の者であれば遺言することができますが(民法961条)、成年被後見人が遺…
【弁護士による判例解説】「遺産分割の代償金の支払を分割にすることが出来るか。」 神戸家裁尼崎支部昭和48年7月31日審判 福岡高裁昭和40年5月6日決定
1 代償金が払えない。 「遺産の中に不動産は多く残っているが、現金が少ない。」という状態は、相続問題において非常に多くみられる現象です。遺産の中に現金が少ないと、土地を相続人間で分割することになり、土地ごとに価額が大きく違う場合には、法定相…